先日ここに書いた「Web活用し映像制作環境を共有化」の記事に関連して某所でクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons Public License; CCPL)の話題が出たのですが、そこでちょっと気になることがあったので今回はその話をしてみます。今回はお気楽モードじゃないです。ごめんなさい。
まず「何それ?」って方のために簡単に説明を。クリエイティブ・コモンズ(Creative Commons; CC)はアメリカの NPO です。 CC のページにある "About Us" には以下のようなキャプションが見られます。
現在の著作権を巡る議論は全てをコントロールしようとする議論(All Rights Reserved)とよりアナーキーな方向へ向かおうとする議論(No Rights Reserved)に引き裂かれる傾向にあります。 CC/CCPL ではその中間を埋めるもの(Some Rights Reserved)を提供し「より豊かな情報流通と文化・科学技術の発展をサポートします」。"Some Rights Reserved": Building a Layer of Reasonable Copyright
CCPL では以下の4つのオプションを組み合わせた利用条件を指定できるようになっています。(参考: 「ライセンス・マーク名称の変更について」)
- 表示(Attribution, by): 作品を創作した人(著作(権)者)の氏名、作品のタイトルなど、作品に関する情報を表示する。
- 非営利(Noncommercial, nc): 作品を営利目的で利用してはならない。
- 改変禁止(No Derivative Works, nd): 作品を改変してはならない。
- 継承(Share Alike, sa): 改変することで新たに生み出された作品は、当初の作品のライセンス条件を継承し、同一の組み合わせでライセンスされなければならない。
ここで大事なことは、 CCPL は非排他的なライセンスであるということです(参考: 「私がCCライセンスで発行した作品を、別のライセンスでも発行することはできますか?」)。先ほどの by-nc で言うと「非営利」の条件はあくまでも著作物の利用者に対して課せられるものであり著作(権)者は適用の範囲外です。したがって個別に(金銭的対価を得るなどして)商用利用を許可することは可能なのです。
これとは対照的に排他的な契約を執る局面も多いと思います。一番極端な例は相手に著作権を譲渡してしまう場合です(ちなみに CCPL は著作権を譲渡しません)。そこまで極端でなくとも一定期間(あるいは無期限に?)独占的に著作物を取り扱えるようにしたりといったことは良くあると思います。旧来の商業的なコンテンツは流通経路を完全コントロールする必要があり(少なくともそう思われている)、そのためには非排他的なライセンスはマッチしないのです。逆に言うと、すでに CCPL でライセンスしているものに他の契約で許諾しようとしても、それが排他的な性格を持つものであれば事実上受け入れられないということになります。
CCPL では(利用条件の範囲内で)複製や頒布などが自由にできてしまうので、コンテンツから直接利益を回収する旧来のビジネスモデルから見ると全くナンセンスなライセンスです。しかし今はコンテンツから直接利益を回収できなくても成り立つビジネスモデルも登場しつつあります。それは人やもの同士が有機的に結びつき自由に行き来できる「場」を提供し、そこから利益を上げていくビジネスモデルです。そういう「場」においては CCPL のような仕組みは有効に働きます。排他的なライセンスと非排他的なライセンスは本当は互いに衝突するものではなく補完しあうものだと思います。
参考: